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Python - マルチスレッド

threading.Thread

スレッディング・スレッド(標準ライブラリ

意味 並列処理実行


threading.Threadとは?

threading.Threadは、Pythonで並列処理を行うためのクラスです。Threadクラスを使うと、複数の処理を同時に実行できます。例えば、重い処理をバックグラウンドで実行しながら、ユーザーインターフェースを操作し続けることができます。

threading.Threadの具体的な使い方

複数のタスクを並列実行する例

import threading
import time

def task(name, duration):
    print(f'タスク {name} を開始します。')
    time.sleep(duration)
    print(f'タスク {name} が完了しました。')

# スレッドのリストを作成
threads = [
    threading.Thread(target=task, args=('A', 3)),
    threading.Thread(target=task, args=('B', 2)),
    threading.Thread(target=task, args=('C', 4))
]

# 開始時間を記録
start_time = time.time()

# すべてのスレッドを開始
for thread in threads:
    thread.start()

# すべてのスレッドの終了を待つ
for thread in threads:
    thread.join()

# 終了時間を記録
end_time = time.time()

print(f'すべてのタスクが完了しました。')
print(f'合計実行時間: {end_time - start_time:.2f}秒')

👇出力結果

タスク A を開始します。
タスク B を開始します。
タスク C を開始します。
タスク B が完了しました。
タスク A が完了しました。
タスク C が完了しました。
すべてのタスクが完了しました。
合計実行時間: 4.01秒

この例では、threading.Threadを使用して3つの異なるタスクを並列に実行しています。各タスクは異なる時間だけ睡眠状態になり、作業を模倣しています。すべてのスレッドを開始した後、join()メソッドを使用してそれぞれのスレッドの終了を待ちます。最後に、全体の実行時間を計算して表示します。この方法により、複数のタスクを効率的に並行処理することができます。

スレッド間の通信と同期の例

import threading
import queue
import time

def producer(q):
    for i in range(5):
        item = f'アイテム {i}'
        q.put(item)
        print(f'生成: {item}')
        time.sleep(1)
    q.put(None)  # 終了シグナル

def consumer(q):
    while True:
        item = q.get()
        if item is None:
            break
        print(f'消費: {item}')
        q.task_done()

# キューの作成
q = queue.Queue()

# スレッドの作成
producer_thread = threading.Thread(target=producer, args=(q,))
consumer_thread = threading.Thread(target=consumer, args=(q,))

# スレッドの開始
producer_thread.start()
consumer_thread.start()

# スレッドの終了を待つ
producer_thread.join()
consumer_thread.join()

print('すべての処理が完了しました。')

👇出力結果

生成: アイテム 0
消費: アイテム 0
生成: アイテム 1
消費: アイテム 1
生成: アイテム 2
消費: アイテム 2
生成: アイテム 3
消費: アイテム 3
生成: アイテム 4
消費: アイテム 4
すべての処理が完了しました。

この例では、producerスレッドとconsumerスレッドの間で、queueモジュールを使用してデータを安全に共有しています。producerはキューにアイテムを追加し、consumerはキューからアイテムを取り出して処理します。queueは、スレッド間の通信と同期を容易にし、データの競合を防ぎます。Noneを特別な終了シグナルとして使用し、consumerに処理の終了を伝えています。この方法は、生産者-消費者パターンの実装に適しており、並行処理を安全に行うことができます。

threading.Threadに関するよくある質問

Q. スレッドとプロセスの違いは?
A. スレッドとプロセスは両方並行処理を実現する手段ですが、主な違いはメモリ共有にあります。スレッドは同じプロセス内で実行され、メモリ空間を共有しますが、プロセスは独立したメモリ空間を持ちます。スレッドは軽量で高速に生成できますが、同期の問題に注意が必要です。一方、プロセスは独立性が高く、1つのプロセスがクラッシュしても他に影響しにくいですが、生成や通信のオーバーヘッドが大きくなります。
Q. スレッドの同期はなぜ必要?
A. スレッドの同期が必要な理由は、複数のスレッドが共有リソース(変数やファイルなど)に同時にアクセスする際に起こる競合状態(race condition)を防ぐためです。同期せずに共有リソースにアクセスすると、データの不整合や予期せぬ動作が発生する可能性があります。ロック、セマフォ、イベントなどの同期プリミティブを使用することで、スレッド間の適切な協調動作を実現し、データの整合性を保つことができます。
Q. GILとは何ですか?
A. GIL(Global Interpreter Lock)は、CPythonインタープリタの実装で使用されるメカニズムで、1つのPythonスレッドだけがPythonオブジェクトを操作できるようにする仕組みです。GILの存在により、マルチコアCPUを持つシステムでも、Pythonの標準実装では真の並列処理(複数のスレッドが同時に異なるCPUコアで実行される)が制限されます。ただし、I/O操作やCで実装された拡張モジュールの処理中はGILが解放されるため、I/O束縛の処理や特定の数値計算ではマルチスレッドが効果を発揮することがあります。

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